発掘作業中!

サルベージとは、「海難救助、(沈没船の)引き揚げ」などが転じて、web上に埋もれた情報を引きずり出す作業を意味する、ちょっとアブない言葉です・・・

かなり面白いオチ:T氏に「BPZは86年じゃないよ!」と言われる→viで6を4に修正→文字コード無視して上書き保存→くりこみしちゃった!と騒いでかなり落ち込む→とぼとぼ帰宅→自宅ブラウザ内にキャッシュ発見→ごにょごにょ→復活・・・というわけで可逆なくりこみでした。世界にはゴミが溢れていて、本当のくりこみ機構は働いていないのかもしれませんね。


Operator Product Expansion
—世の中すべて—

Polyakovのインタビューから抜粋。

くりこみ群について考えていることを話しましょう。便利な方程式には2種類あると私は思います。ひとつは人類が発明した人工的なもの、もうひとつは何らかの「先天的な【自然界の】調和」を反映するものです。くりこみ群は明らかに人の手によるものです。物事を計算する賢い方法であることに間違いありませんが、例えばDirac方程式みたいに息をのむような品質はありません。

後者の例は演算子積展開です。これは美しい数学的関係を形作っており、私はこの方法に基づいて固定点の分類をしようという夢を70年代にもっていました。

この計画はLie代数の分類のような感じでした。この場合、Lie代数を定義する交換関係から始めて、半単純Lie代数のありとあらゆる可能性を分類すればよいのです。するととてつもなく美しい理論に到達します(間違いなく、これは発明されたものではなく発見されたのものです)。70年代に私はこのプロジェクトを押し進めていましたが、今でも機会があれば、と思っています。2次元ではこの方法で成功をおさめました。2次元のありとあらゆる固定点を演算子積展開の方法で分類できたのです。これがまさに共形場理論がやっていることです。そして3次元でも同じようなことができる可能性は死んでいないと考えています。このことは70年代にもしばらく考えていましたが、成功しなかったので他のテーマに切り替えました。

このテーマは実用的にはepsilon展開で終わりだったのだろうと思います。たいていの欲しい物理量は高い精度で計算することができるようになりました。でも美学的にはまだ終わっていません。弦理論に基づいた固定点の分類学が2次元と同じ事情で3次元でも存在するかもしれません。まあ、あくまで夢ですが。


くりこみ群(あるいはブロックスピン変換)は有名で、教科書も星の数ありますが、OPE(演算子積展開)に関しては(共形場理論から引き剥がした)手頃な解説がありません。唯一の例外はCardyの本ですが、これだけでは不十分でしょう。ソ連の人たちはこの法則に関して深い造詣があったようですが、欧米では(弦理論および構成的場の理論の人々を除いて)あまり重視されないようです。本質的にはKadanoffによる69年の論文で尽きているのですが、まとまった解説としてPatashinskiiとPokrovskiiによる“Fluctuation Theory of Phase Transitions”の一部を翻訳しました。英語からの重訳なので、翻訳そのものには価値がありません。単にaccessibleにしたかっただけです。(著作権に関して不都合があればご連絡ください。)

LandauとかAGDとかPolyakovは日本でも有名ですが、それ以外の人々となるとあまり知られていません。臨界点の理論についてはKadanoff、Wilson、Fisherなどによる西側の理解が世界に浸透していますが、全く独立に東側でもPolyakovやこの本の著者たちによって本質的に同じ理論(しかし微妙に視点が違う)が打ち立てられていたようです。この本は東側の学問的独立をみるという意味でも興味深い本です。特に臨界点における共形不変性の重要性を非常に早いうちから指摘していたPolyakovによって69年に発表されたエレガントな論文なんかはとても面白いと思いのですが、当然この本でも共形不変性を全面に押し出した東側独特の議論がなされています。共形場理論は84年のBPZで空から降ってきたのではなく、こういったソ連時代の歴史を汲んでいるのです。文字通りLandau教程を超えた物理の出発地点としてこういう名著が生まれたのでしょう。正しいクレジットを与えられていないのは残念です。

OPEの概念そのものはかなり一般的ですが、やはり最大限威力を発揮するのは自由場(およびそこからはじめる摂動)の場合でしょう。翻訳後半部分のepsilon展開やNovikovの公式がその例として挙げられます。